全世界のゲーム市場を専門とした分析を行っているSuperData社が6日、2020年の市場分析を公開。同社HPで無料で概要確認とレポートのダウンロードができる。レポートの概要は以下のものとなる。
https://www.superdataresearch.com/blog/2020-year-in-review
今回のレポートは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響を踏まえた2020年動向に焦点を当て、また2021年のトレンドにも言及を行っている。
2020年の動向
それによると、デジタルゲームだけでも2020年に1,266億ドルを稼ぎ、ユーザーが家でリモートでのコミュニケーションを余儀なくされた1年で、前年比12%の増加となったとのこと。主な調査結果は以下のとおり。
・無料ゲームは引き続きゲーム収益の78%を占める大きな要因で、とくにアジア市場においては59%が無料ゲームでの収益になっている
テンセントの「Honor of Kings」(王者榮耀・おうじゃえいよう)と「Peacekeeper Elite」の両タイトルはいずれも年間20億ドル以上の売上を記録
・モバイル市場は10%成長となり、ゲーム市場の58%を占めるようになった
ロックダウンや封鎖があったが、モバイルプレイヤーの大多数(米国では62%)がすでにモバイルデバイスをゲーム機器の最優先機器にしているため、モバイルゲームの収益は安定している
・「Roblox」が2020年3番めに収益を稼いだゲームでモバイル市場成長のおかげでFortniteを上回った
「Roblox」のモバイル収益は、若者のソーシャルネットワークで選ばれたツールとなり、そのゲーム作成プラットフォームとして成長した。「Fortnite」もまだ10億ドルを2020年で稼いだものの、「Roblox」や「Call of Duty: Warzone」などの競合が現れてきた
・プレミアムゲーム(有料ゲーム)は前年比で28%増加し、無料プレイ市場の成長の9%を上回った
北米とヨーロッパを合わせると、プレミアムゲームの全収益の84%を占める。COVID-19がこれらの地域に深刻な影響を与えたため、プレミアムコンテンツへの支出が急増した。「Animal Crossing: New Horizons」(あつまれどうぶつの森)は2020年最大のヒットの筆頭となり、プレミアムローンチダウンロードのコンソール記録を更新した
さらに、より広い関連市場として、インタラクティブメディア市場においては複数の成長が見られたとのこと。
・ゲームビデオコンテンツ(GVC)は93億ドルの市場になり、視聴者数は12億人に到達
競争力のあるタイトルやソーシャルゲームの標準的な稼働に加えて、「Fortnite X Marvel」のようなブランドのクロスオーバー作品や、下院議員のAlexandria Ocasio-Cortezのような公人がトップビューを稼いだ。GVCは「Among Us」をすべての時間でもっとも人気のあるタイトルになる助けとなった
・XR(仮想現実と拡張現実)は67億ドルを稼ぎ、VRゲームの収益は前年比25%増の5億8,900万ドルに。「Half-Life: Alyx」のリリースにより、ハードコアゲーマーの間でテクノロジーへの関心が再び高まった。さらに、束縛されず、予算にやさしい「Oculus Quest 2ヘッドセット」が、消費者をVRに引き付けた
2021年の予測
パンデミックによる大幅な成長を遂げた2020年に続く2021年は、インタラクティブエンターテイメントのし上はさらに2%増加するとSuperDataは予測。傾向と可能性として次のようなものを挙げている。
・COVID-19によるゲーム活動の増加はあったが、ワクチンの展開・普及によりその傾向が壊れるとは予想されない
デジタルゲームの収益は2021年にはほぼ横ばいになるとよくされるものの、封鎖的な習慣は今も続いている。とくにアジアの無料プレイ市場とプレミアム市場は、いくつかの国、とくに中国がほかより迅速、かつ効果的にCOVID-19に対応しているにも関わらず、それぞれで前年比で11%と20%増加しているのが根拠といえる
・”ビッグスリー”コンソールメーカー(任天堂、ソニー、マイクロソフト)の戦略は、今後も分岐していく
マイクロソフトは、Xbox Game Passを、電話からスマートTVまであらゆるもので行える、ゲームにおけるNetflixに変えることに重点を置いている。このサービスの需要は明らかで、2020年11月の収益と加入者数は、それぞれ前年比で179%と175%に増加。一方、ソニーと任天堂は、ハードウェアの販売を促進するこれまでのプラットフォーム専用に引き続き注力する
・開発と出版社の競争が激しい市場で地位を争う中、業界の統合は2021年も続く
2020年に発表された買収には、MicrosoftのZeniMax Media(Bethesda)、Electronic ArtsのCodemasters、EG7のDaybreakGamesが含まれていた。ゲームの予算が増え続け、ユーザー獲得コストが上昇するにつれ、トップ企業が提供範囲を拡大しようとしているためで、中小企業も買収され続けるだろう